納骨堂「一如院」壁画作家 磯野宏夫氏 急逝

善慶寺の檀家であり、当寺納骨堂「一如院」壁画の作者でもある磯野宏夫氏が、5月28日に急逝されました。

磯野氏は、2007年秋に納骨堂「一如院」を竣工する際、堂内に蓮をモチーフとした命の循環を表す壁画の大作を描いて下さいました。(詳細) さらに2012年春、磯野氏は新たな作品も寄贈、納骨堂内にお浄土の世界を完成させるに至りました。 (詳細)

磯野氏はお亡くなりになる前の3月30日~5月19日にかけての50日間、名古屋の「古川為三郎記念館」にて催された「7つの旅ー現代作家による響宴」展に幾点もの作品を出品、開催中は「アーティストトーク」に出演されたり 来場者への解説など多忙な日々を送られていました。当寺でも住職・坊守はもとより、絵手紙クラブの会員さんたちをはじめ多くの方々が作品展に訪れ、伝統的な建物と その中で繰り広げられる現代的作品との調和を堪能してきました。

この作品展を終えた5月23日、磯野氏は当寺を訪れ、先の作品展に展示されていた作品の一つ『まほろばの森』を当寺に寄贈されました。この絵は以前より「作品展後に善慶寺に寄贈する」と住職におっしゃって下さっていたもので、磯野さんが生涯をかけてモチーフとされた深い深い森が描かれた大作でした。

その後運び込まれた絵を前にして、磯野さんと住職・坊守とでお茶を飲みながらとりとめのないお話をしました。いつもながら気さくな磯野さんでしたが、「今回の作品展は長かったので疲れた。しばらく休みたい。」と珍しくお疲れになったご様子で、今にして思えば、かなりお身体に無理がかかっていらっしゃったのかもしれません。磯野さんが急逝されたのはその5日後。あまりにも突然わたくしたちの前からそのお姿を消してしまわれて、私ども一同深い悲しみに包まれています。

享年69歳。まだまだこれから多くの素晴らしい作品を生み出して下さると誰もが信じて疑わないお歳でした。突然のことに本当に残念でなりません。 “森”をテーマとして描き続けていらした磯野さんが残された多くの作品は、まさに今 私たち人類が直面している”自然との共生” という 重要なテーマを人々に投げかけてきたと思います。

磯野さんがいらっしゃらないのは本当に残念ではありますが、残された作品が一人でも多くの人々の目に触れ、磯野さんの愛した”自然”を人々が大切に思ってくださることを願ってやみません。  合掌

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